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7 皮剥・スキナー
白馬長野有料道路の日高トンネルを抜けた安庭橋の道路端に、照明に照らされた人の形のままの衣類がある。靴もある。頭部には長い髪がついた肉片付きの頭皮がある。
「開けてみろ・・・」
照明に照らされたタイトなスカートの中に下着があった。下着の中にも陰毛がついたままの皮膚そのものがあった。
「・・・」
現場検証に立ち会う若い刑事と警官が不快な表情でその場から走って離れた。路側帯の外へ行き、吐いている。
無理もない。髪がついたままの頭皮と陰毛が付いた陰部の皮膚を目の当たりにしたのだ。しばらくは焼き肉など食えないだろう。
「どういうことだ・・・」
木島刑事は、状況を理解できなかった。
「同じ質問になるが、これだけ皮膚を剥がれたどうなる?」
係長の田上刑事が鑑識に訊いた。
「剥ぎ取られたままなら、出血多量で死ぬでしょう。
この辺りにある血痕はここだけです。それもわずかだ。余所で剥がして、衣類とともに、ここに捨てたんでしょうね・・・。
おーい!何か出たか?」
野沢鑑識長が部下を呼んだ。
「何もありません」
遺留品の有無を調べている鑑識官が、野沢鑑識長に首を横にふった。
「それにしても、こいつも同じだ。蝉の抜け殻みたいに捨ててこいといわれても、こんなにうまくできない」
野沢鑑識長は田上刑事に、衣類と、髪と体毛がついたままの生皮を目配せした。
「今回も手掛りなしか・・・」
係長の田上刑事がつぶやいた。
野沢鑑識長がいうとおり、今回も、人が横たわって衣類と生皮を残したまま、中身の人だけが消えた状態だ。
なぜ、こんな手の込んだ手の込んだことをする?木島刑事はふしぎだった。
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