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社会人になって思うこと。学生時代に戻りたい。
大学の授業は本当に長いなと感じる。大学の授業の時間割を確認するとだいたい1授業90分で構成されている。しかも僕が通っている大学は1年生の頃は所属している学科の専門的な勉強に限らず、共通科目なる、大学1年生全員が対象の選択授業を受けさせられる。
そういった授業の中にはまともに授業を聞かなくても、単位が取りやすいのも存在する。だからなのか、単位が取りやすい授業は真面目に向き合う者、スマホを隠れて見ている者、別の授業の宿題をしている者など三者三様である。
俺は今日も、後ろの方の席に座り、スマホで漫画を見ている。退屈しのぎにはちょうどいい。
「うわー。はずれたー。やばいな。今月はトータルでマイナスじゃん。金融機関でお金借りようかな。」
なんか、隣で友達の中田がボソボソとつぶやいている。
「中田さ。さっきから何してんの?」
「FXのバイナリーオプションやってるんだけど、予想が全然当たらないんだよ。予想ツールを使っているんだけど。難しいよな〜。」
「バイナリーオプションって何?」
「ある一定期間で為替レートが設定された目標レートを上回っているか、下回っているかを予測する取引の事よ。普通に一定期間の設定とか短くて数時間とかかな。割とすぐに結果がわかるし、一定時間後に現状よりプラスかマイナスか予想するだけだから簡単よ。」
「そういうのがあるんだな。で?予想ツールって何?結果を予想してくれるの。」
「そうそう。この予想ツールがあれば勝率は平均70%は行くらしい。」
その話が本当なら、確実に簡単にもうけることができる。
「は?そんなの絶対嘘じゃん。本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。これ見てみ。」
中田が見せてくれた予想ツールを見ると、そこには「(最強の予想ツール)あなたを変える運命の一冊」と書かれている。聞くとこの予想ツールの値段は30万円。予想ツールを販売しているサイトを見ると、うさんくさそうな人物の顔写真が載っていて、他にも成功者がこんなにいます、いまなら50%割引で買えます、トータルで勝てます、高級マンションで暮らせるようになっただとか、胡散臭いどころか、詐欺臭しかしない文章が連なっている。要は人をだます情報商材の事である。
「おまえ。本当にこれ大丈夫か。」
「大丈夫よ。」
「こんな絶対に稼げますとか、WEBとかで見かけること時々あるけど、冷静に考えてみろ。人に絶対に稼げる情報なんか教えるか?しかもこれが本当なら、今頃、世間はパニックだぞ。」
「けどやってみないとわからないじゃん。」
やばい、こいつ騙されたことが分かっていない。
「まーやるのは本人の自由だけど、俺は絶対こんなものにはお金をかけない。」
「分かった。分かった。ご忠告ありがとう。」
それから3ヶ月が過ぎた、中田は日に日に元気がなくなり、今月は複数のアルバイトを組み合わせて、15連勤の予定らしい。
自分自身もいつどこで騙されるかわからないからこそ、気をつけていこうと改めて実感した。
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