8 宇宙船・ノアの方舟

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「さあさあ、いろいろ考えても、しかたないさ。  私には家族がいるがあきらめた。この宇宙船に乗艦するとき、そう決意してこの計画に志願した。  みんなも、私と同じ気持ちで乗艦したことと思う。  知ってのとおり、この宇宙船は惑星移住計画用球体型宇宙戦艦のプロトタイプ〈ノア〉だ。ノアの方舟だ・・・」 ジュリア・ダラン 作戦司令官はそう言った。地球上で過去の生活をすることはできそうになかった。  リサ・タジマ医学者が言う。 「地上の生態系は元にもどらない。この〈ノア〉は惑星移住計画用球体型宇宙戦艦だからここでも暮らせる。新しい惑星を見つけて移住も考えられる。  それには子孫を残すことが重要よ・・・」  地球の気象も生態系もは復旧しなかった。無理はない。地上は放射性物質と放射線の嵐だ。惑星移住計画用球体型宇宙戦艦のプロトタイプ〈ノア〉は予想していたとおり、地球帰還を放棄した。  十数年後。 〈ノア〉に二十人の子どもが増えた。 「ここに示したように、各国のイデオロギーの相異から、話しあうこともなく、核弾頭付きのミサイルを打ちこんだ結果、放射性物質と放射線で、地球の生態系は崩壊し、我々は地上に住めなくなった。そして、今、ここで暮している」  子どもたちを教育するジュリア・ダラン作戦司令官は、宇宙放浪の民となった原因を子どもたちに教えた。 (了)
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