上納金

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 隠れ家の仄暗い部屋で佐藤に俺は話しかけた。ライトが俺達二人を嘲笑うかのように照らされた。  机の上には、ほかほかのたこ焼きが置かれていた。俺達は食べながら話し始めた。 「おまえ、いくら集まった?」 「二千五百万です」  それを聞いて怒りがめりめりと込み上げる表情を浮かべた。俺は佐藤の首を掴んで怒声を放った。 「おまえ、全然足りないだろ。この一ヶ月、何やってたんだよ。ボスから言われたのは一億だ!」  佐藤が首を掴まれて苦しそうに咳をしていた。佐藤は俺の手を振り解くと深く頭を下げた。 「すみません。下っ端のヤクザにも集めさせたんですが、これだけの金を集めるのが精一杯でした」  俺は腕を組んで考えに耽った。 「俺が集めたのは五千万。おまえと合わせてあと二千五百万も足りない。このままだと俺達、殺されるぞ」  佐藤がその言葉を聞いて、でかい図体なのに小さな子供のようにぶるぶると震えていた。 「今月中にあと二千五百万集めて、組織に上納金を払わなければ俺達が所属している末端の組は潰される。組を存続させるために早く集めなければ。非常にまずい事態だ。もう時間がない!」  その台詞を発した直後、俺達二人はカメラに向かって、満面の笑顔を浮かべた。 「そんな時はタコさんローン! 忙しいあなたも、借金をしたことを周りに知られたくないあなたも、タコさんローンがおすすめ!」 「簡単審査で誰でも即日融資を受けることかできます。さあ、あなたもタコさんローンへ!」  テーマソングが流れる中、俺達二人は、たこ焼きを食べながら、タコさんローンのイメージキャラクター『楽してタコさん』のぬいぐるみを二人で挟み込むようにカメラに見せた。俺達二人の渾身の演技は視聴者にどう映るだろうか。  監督のカットという合図と共にCM撮影が無事、幕を閉じた。
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