9 宇宙盗賊

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9 宇宙盗賊

 静止衛星軌道上にいる、巨大な地球ゴマに似た国際宇宙ステーションに、スペースコロニーほどの大型宇宙戦艦が接艦した。両者の姿は、巨大な車輪の軸に付着した、球体型の巨大要塞のようだった。  一時間ほどすると、宇宙ステーションの回転が落ちて照明が消え、大型宇宙戦艦がステーションを離れた。これまで一定の姿勢を保っていた宇宙ステーションは不規則な回転と体制で静止衛星軌道にいる。 1c763b5b-3aec-4fe3-85bb-a27b01bee4db  二十四時間後。  調査巡航戦艦〈スティング〉が地球ゴマにとまった小さな蠅のように、巨大な国際宇宙ステーションの軸に接艦した。  エアロックロックが開いた。だが、国際宇宙ステーションの内部の空気圧は0だ。ステーション内部に破壊は見られない。  ステーションの軸中央にあるコントロールブリッジへ通路を漂って進むが、通路は誰もいない。  コントロールブリッジにも誰もいない。駆動装置を起動し、コマの部分にあたる研究居住区の回転を開始する。宇宙ステーションがゆっくり動きはじめ、警報が鳴った。管理AIのパエトンが言う。 「エナジーが不足しています。エナジー変換機が存在していません。エナジー補充できません。ステーションは慣性回転しています」
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