𝑬𝒑𝒊𝒔𝒐𝒅𝒆_Ⅲ

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悩んでいると台に置いていた私の手の上に手を重ねてくる。 優しく触れてくるその手を拒む事は私には出来なくて。 好きだから、求められたら応えたくなる。 「俺は絢と居たいんだけど。」 「…あ」 「絢、急遽頼みたい仕事あるんだけど」 給湯室の入口から声が聞こえてそっちに目を向けると、和泉が書類を持ってこっちに来ていた。 「あ、え?私に?」 バッと手を離して、和泉の方に駆け寄る。 営業課から総務課に仕事なんて…、そんな珍しいこと滅多にない。 「コーヒー入れてからでいいよ」 そう言って待ってくれる和泉にお言葉に甘えて、コーヒーを入れて慌てて一緒に戻る。 「急がなくていいのに、絢鈍臭いからこぼしたら困るし」 「何でそう一言余計かな!?」 なんていつも通り話してくれてるけど、見てた、よね?
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