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「おはよ、絢」
その声でふと現実に帰ってくる。
「あ…、和泉か。おはよ」
少し気まずい気持ちで目線を逸らす。
すると「ああ…、そういうこと」と小さく声を漏らして、私の頭を撫でる。
「本当、あんなんに何で惚れ込んでるかなあ。見る目ねー」
そう言って冗談混じりに笑って、泣きそうになってる私の顔を周りから隠すように立ってくれる。
「…ありがとう、和泉」
「不細工な泣き姿見せられるのは俺だけでいいからな」
「…格好良いと思った私が間違いだった」
そんな風に言う私に笑って、一緒にエレベーターホールまで向かう。
本当、見る目無いのは和泉もだと思うよ。
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