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───Side 和泉
経理課に用事があって顔を出すも、オフィスには社長令嬢しかいなかった。
宝生 紗綾さん。
絢が惚れ込んでるクソ野郎の、婚約者。
「宝生さん、請求書の件と領収書の件で」
そう言って声をかけるとフワッと笑って「お疲れ様、篠原くん」と挨拶をされて「あ、お疲れ様です」と返す。
あまり話した事ないんだよな。
「ちょっと今急ぎでやってるの3分くらいで終わるから座って待ってくれる?時間ある?」
「あー、それくらいなら。待ってます」
そう言って隣のデスクの椅子を引いて座る。
左手の薬指に婚約指輪が光っていて、まだ婚約してるんだなとそこで分かる。
「…そういや、新谷さん。でしたっけ?どんな感じですか?婚約」
入れたくもない探りを入れると、タイピングの手が止まる。
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