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「ぐっ……う……」
「ねぇ、アタシ以外の友達は”契約違反”だよ」
「な、……に……い……って」
「指切りしたでしょ。嘘ついたら~朝香をた~べる……って」
そう言うと、花子は大きな口を開けて朝香の顔面に勢いよくかぶりついた。
「ぎゃああああああああ」
朝香の悲鳴がトイレに響き渡るが、花子は気にも留めず一心不乱に朝香を食べていく。
最後に靴下ごと朝香の両足を飲み込むと、花子は口の周りを舌でベロンと舐めた。
久しぶりの食事を終えた花子の足元には朝香の上靴とスマホが残されていて、目の前の鏡には花子ではなく朝香の顔が映っている 。
「ふふ……何百年ぶりだろう……人間を食べて実体を手に入れたのは……」
花子は鏡を見ながら両手で自分の頬にふれ、にんまり笑った。
「指切りしたよね……ずっとアタシとだけ友達、よそ見しないって……」
その時、花子の足元に転がっている朝香のスマホが震えた。
──『雪乃だよ、友達になってくれてありがとう。早速、明日の放課後だけど一緒に遊べる?』
そのLINEメッセージを見た花子はすぐに返信をする。
『いいよ。その代わりよそ見しないでね』
花子は朝香の上靴を履き口元をニタッと笑うと、指切りげんまんの歌を口ずさみながら踊るように廊下を駆けていく。
ずっと友達……嘘ついたら~あなたのこと食~べる……ゆびきった……。
──トイレの人食い花子さん・完──
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