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鬼ごっこ
──「じゃーんけーんぽんっ」
放課後の校庭で仲良し四人組の男女が掛け声に合わせて一斉に手を出した。
出された手はチョキが三つ、パーがひとつ。
「あっ、勝った!」
美穂はチョキを出した手を見ながら声を弾ませた。
「じゃあ逃げは私、美穂、陸都、鬼は諒ね」
しっかり者でポニーテールがトレードマークの凜花が人差し指で諒を指さした。
「よーし、じゃあまた美穂から捕まえてやろっかな」
諒の言葉に美穂は思わず下唇を噛んだ。
サッカーが得意で足の速い諒が鬼になると、足が遅い美穂はいつも一番に捕まっていたからだ。
「ちょっと僕から質問。どこまでが逃げの範囲なの?」
いつも冷静沈着な陸都の言葉に凛花がすぐに辺りを見渡す。
「そうだね~、校庭だけじゃすぐ諒に捕まっちゃいそうだし、校舎裏と体育館裏はオッケーにする?」
「僕はそれでいいと思う」
「美穂は?」
「私もそれで……」
「はぁ?! 俺が鬼の時だけ範囲広くね?」
すぐに諒が不満をあらわにしたが誰も何も言わない。
「……はぁ、まぁいいけど。じゃあ今日もルールはタッチされたらおしまいな」
諒はそう言うと校庭の隅に植えられている桜の木の下に向かって歩いていく。
桜の木の下で二十秒数えたら、鬼ごっこ開始だ。
「じゃあ、僕は体育館裏いくから」
「おっけ~」
「わかった」
凜花と美穂が返事をして陸都が背を向けて歩き出すと、凛花が不安そうな顔をしている美穂に声をかけた。
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