食べ頃

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 庭の木に生った果実がかなり色づいてきた。  そろそろ食べ頃。そうなると、必ず野鳥がやって来る。  案の定、木を窺っていたら一羽の鳥が飛んできた。  近くの枝に折り、ちょんちょんと実の側へ寄る。  今まさに嘴が実を啄む…よりも先に果実が割れ、野鳥を飲み込んで元の形に戻った。  いつの間にか庭に生えていた木。濃い緑色の果実は大きくなるにつれて赤くなり、いかにも完熟といった真っ赤になったら食べ頃だ。  いや、正確には『食べ頃』じゃなく、実が寄ってきた鳥を『食べる頃』だな。  何だか判らない木に生った実なんて、毒でもあったらと、とても食べる気にはならず放置していた。だからこそ、寄ってきた鳥が食べられるところを目にしたのだけれど。  何度も切ろうとしたけれど、そのたび、何かに邪魔されるように用事などができてしまう。だからお手上げで放置だ。  一つの実は、鳥を一羽食べたら数日後に萎んでなくなるから、俺も家族も、近寄らない・手を出さないを守って、木にも実にも関わらないようにしているよ。 食べ頃…完
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