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俊:「………いや、なんで砂なの? 意味わかんね。我のプロポーズの返事的なヤツなら、ここは、その…やっぱキス?とかだろ………いや、男同士だけど! 一応、お前となら、まあ、がんばれるかなって、こっちは飛行機乗る前とかにお前と一つになる方法とかもググってたりしてて………」
真央斗:「あのね!同性とのキスがんばる前に、僕、死にかけてるんだから!
生きたいんだったら、まずはここから生還しなきゃでしょ!? あと、ただの砂じゃなくて、ここは僕の命の今わの際の世界なんです。だから、これは、なんというか、僕の『生命』の一部で………あげるから、その………離さないように握っといてくんない? これから先、二人で生きていくんだったら」
俊は首をかしげながらも「あー、なるほどね……まあ、そういうことなら」と言って差し出された少しばかりの砂を片手で受け取ると、その砂とあたりの光景を不思議そうに眺めた。
なんつーか………ありがとな
お前の『生命』。大切にするから。
ううん。こっちこそありがとう。僕に『歌』を聞かせてくれて
俊のくれた『歌』で、なんだか、やっと僕の『生命』が真愛に見えたよ
そう言って苦笑しながら真央斗が俊を抱きしめると、俊も苦笑いしながら真央斗を抱き返した。抱き合う二人はそのまま安心したように目を閉じると、彼らの意識は静かに薄らいでいった。
薄らいでいく意識の中、俊は自分の胸の中にいる真央斗の温もり、手の中の砂の感触を感じ、中学時代からの彼との今までの再会を思い返して理解した。
薄らいでいく意識の中、真央斗は俊に強く抱きしめられて、これまで以上に彼の存在を感じ、今回の自身の身に起きた出来事を振り返って気づいた。
ああ、そうだ / そうか
最初から全部つながってて、お前の『生命』に届いた我の思いも
めぐりめぐって、最後に彼の『歌』になって返ってきた僕の言葉も
そうやって、きっと我とお前、奇跡的な再会を繰り返して
繰り返した再会がまた僕たちに奇跡を起こすのかもしれない
そして―――
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