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俊:「おまっ!………そこは『こんなオレを愛してくれて、ありがとう』一択だろうが!! 男なら誰しも一度はあこがれる『天下一武道会』の悟空と『マリンフォード頂上戦争編』のエースの二大名セリフを知らねーのか!?」
真央斗:「お前、青春に侵され過ぎて、とうとう『ジャンプ』に脳みそ乗っ取られてるぞ! だいたいもう僕死ぬのになんで今することがプロポーズなの!? あいかわらずワケわかんないな」
俊:「いやーね。ニュース見てお前のこと心配でいてもたってもいられなくなって、そんで飛行機に飛び乗ったまではよかったんだけど………飛行機ん中クソ暇で!! やべーよ、パキスタン? もう何十時間なんもやることなかったからさ。とりあえず暇つぶしに『アナと雪の女王』観てたら、『あ、そうだ。この際プロポーズすっか』みたいんなって、んで、どうするか考えた結果、こんな究極の言葉を思いついてしまったワケよ!! ヤバくね!?」
真央斗:「え、どうしよう。やってることが法律度外視のスーパーセレブの石油王なみにスゴいのに、言ってることが九九いえない謎の大人レベルで………死ぬ直前なのに理解に苦しんでる僕がいる………ってか、そこ『タイタニック』とかじゃないんだ。ディズニーなんだ」
俊:「 あのな! じゃ逆に聞くけど! 我がこんな頑張って『歴史に刻まれる一生一代のプロポーズ』してんのになんで逝こうとすんの!? お前が逝きたいときは我も逝く! でもその代わり、我が生きたいときはお前も生きんの! も、それでいいじゃん!」
真央斗:「僕はこれでいいんだよ。むしろ、犠牲になるの自分だけで良かったし」
俊:「だーもう、いちいちダリぃな。お前が『死ぬときは来てね!』つって我がここまで来てんだから、なんでもいいから生きろよ!………よしわかった! こうしよ。もしこのまま逝ったら、あれだ………お前死んだあと、お前の好きな『どうぶつの森』のデータ全部消すわ」
真央斗:「ねーえー。止めてよ。どれだけ課金したと思ってんの……てかなんで僕がひそかに『あつ森』やってんの知ってんの!?」
俊:「あとなんだ?………あ! お前が小学生のとき小遣い貯めて買ったガンプラも燃えるゴミの日に全部捨てっかんな。そんで、お前の大切にしてる全巻コンプした『ハリーポッター』も一緒に捨てるわ。『幼馴染パワー』ナメんな!」
真央斗:「ねぇ、ちっさ!『幼馴染パワー』いちいちやることちっさ! てか、本は資源ゴミの日だから。一緒に燃えるゴミの日に捨てられないからね!」
俊:「うるせぇなぁ!ようはされたくなかったら二人でとっとと戻るぞってこと。なぁ、だから、ほら、戻ろ! な?」
真央斗:「はあ、ったく………しょうがないなぁ」
そう言って少し呆れつつも、真央斗は足元にあった砂を少しだけ手ですくうと、「なら、『歌』のお礼にこれあげるよ」と言ってその砂を俊に差し出した。
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