PROLOGUE

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次の瞬間、二人のいるところから数キロといったところで(すさ)まじい爆発が起こり、ユラッと土けむりがあがった。爆音に交じってかすかに銃声(じゅうせい)の音も聞こえる。 美愛:「………もう少し安全かと思ったけど、ここも状況あんま良くないね」 真央斗:「今日はもうやめて引き返そう。年休でもなんでも、また今度時間つくるから」 美愛:「ダメ!危ないよ!逆にこんなところに保護対象者そのままにできない」 真央斗:「………分かった。ならこうしよう。この車に乗って僕が先に行く。美愛は今すぐアフメドさんに連絡して君のとこの装甲車(そうこうしゃ)をまわしてもらって。あとから合流しよう」 美愛:「いやっ、危なすぎるよ! 銃声もしてる。防護服やヘルメットもなしに、ましてこんな普通乗用車でなんて無茶(むちゃ)だよ!」 真央斗:「保護対象者はパキスタン人の現地職員なんでしょ。ならウルドゥ語が話せる僕の方がことが早い。僕が運転して先に保護対象者と合流して、その足でできる限り安全な場所に避難(ひなん)するから。美愛たちは装甲車で来て、そこで僕たちをピックアップして」 美愛:「絶対ダメ!! そんなのホントに死んじゃうよ!」 真央斗:「時間が()しいだ。 もう行く。ランデブーポイントは後で連絡するから。何かあったら参事官(さんじかん)武藤(むとう)さんに連絡して!」 美愛:「待って! 真央くん!!」 美愛の言葉にろくに返事も返さずに、現地職員の運転手をおろして(なか)ば強引に席を代わってもらった真央斗は、そのままハンドルを(にぎ)り銃声が鳴り(ひび)く方へと車で向かって行った。 「どうしよう……」美愛はスマホを手に取って、急いでNGOの政府担当のリエゾンの連絡先を探した。
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