PROLOGUE

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美愛(みあ):「ゴメンね。休日なのに呼び出しちゃって……」 真央斗(なおと):「気にしないで。休日たって何もできないし。すること家事と勉強ぐらいだから。逆にこっちの方は外出許可がないと難しいから、美愛さまさまって感じです」 美愛:「最近、反政府の人と治安維持部隊の衝突(しょうとつ)でここらへん(あぶ)ないもんね………でもまさかこんな世界の反対側でまた会うことになるなんてね! やばいよ。大使館の表敬訪問(ひょうけいほうもん)のとき、真央くんいて、びっくりしたもん」 真央斗:「場所はともかく、お互い夢を(かな)えて再会なんて、なんか嬉しいよ」 美愛:「それね」 美愛と真央斗はパキスタン首都イスラマバード郊外(こうがい)の町を車で移動していた。彼らは同じ高校に通っていたが、それぞれ別の大学に進学。大学卒業後、美愛はイギリスの、真央斗はオーストラリアの大学院にそれぞれ進学した。その後、国家公務員試験に合格して、晴れて外交官になった真央斗。現在は一等書記官としてパキスタンに任官(にんかん)され、偶然(ぐうぜん)にも、現地で医療(いりょう)NGOの職員として働く美愛と再会したのだった。 真央斗:「それで姫島くんはどうなの?」 美愛: 「なんかゲームが好きだからそういうのを扱ってる会社で働いてるみたい。まぁ、本人の希望とは少し違って今は営業の部署で働いてるって言ってたけど………」 姫島颯太(ひめじまそうた)は美愛と真央斗と同じ高校に通っていた彼らの同級生だった。彼と美愛は別々の大学に進学したものの偶然にも通学の際に同じ電車の路線を使っており、電車内で再会。姫島は高校の時に一度彼女にフられたものの、再会の後、たまに話すような関係から交際に発展し、現在は遠距離恋愛中であった。
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