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「ボーマン艦長。アッキ・ダビド、参上しました」
艦長室に入ったアッキ・ダビド管理官はケルタ・ボーマン艦長に敬礼した。
「確かにこの雌の容姿は良い!フェロモンも優れておる!だが、精神と知性のバランスが取れておらん。伴侶として不足がある。親のデータを確認したのか?」
「はい。わかっています」
「まあ、精神と知性のバランスは後天的に改良できるから、この点は良しとしよう。
我々は人の性的魅力には勝てぬ。特に若い雌雄のフェロモンは我々に勝る。我々はそれを得るために人を管理している。あの雌は特別だ。お前が入れ込むはずだ」
「はい。すみません」
「転送は二度目だ。もはや帰還はできぬ。人のままで後悔せぬか?」
「覚悟しています」
「転送後のお前を捕獲せぬよう、アッキ・ダビド管理官の認証コード(意識と精神のバックアップ)のマイクロチップを通信機ネックに内蔵し、お前の首に貼っておく。人の生態データ収集と管理はマイクロチップを通じ、人管理施設が行なう。マイクロチップの素粒子信号は我々にしか解読できん。安心しろ。
意識転送するのは、過去の若いアッキ・ダビド教授だ。今まで同様、人は我々の意識を読めぬが、それでも警戒して人の意識だけで動け。それで良いな?」
「要望があります。身体補整できますか?」
「多少は可能だ。どこを補整する?」
「下腿部を十センチ長く、胸を厚く、鼻梁をまっすぐに高くしてください」
「人社会の美男だな」
「はい、あの雌が美女ですので」
「良かろう。これまでのアッキ・ダビドの遺伝子に手を加えておく。
他に要望はないか?」
「来学期から新しいアッキ・ダビドがジュニアとしてこれまでのアッキ・ダビド教授に代って働き、一年後にコンラッド大学で教鞭を執れるよう管轄区域を変更してください」
「良かろう。では一週間後に新しい人に意識転送する。それまでアイネクとしての身体を満喫しろ。転送後、お前のアイネクの身体は保管しておく。再転送は不可能と思え」
「わかりました。よろしくお願いします」
アッキ・ダビド管理官はケルタ・ボーマン艦長に敬礼して艦長室から出ていった。
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