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 アッカが王都の屋敷から持ち帰ってきた物品を整理しながら言った。 「うむ。苦労を掛ける」 「今後、王都周辺に動きのあるときは、バンから知らせが参るよう手配しています」 「バンの張り切る姿が目に浮かぶわ。ときに、娘のスイリンはどうした?」 「スイリンなら、マヒワについて行ってるに決まってるでしょう」 「なら、ウトゥのところか?」 「いまごろ隊商の護衛で交易路を行ったり来たりしているはずです」 「相変わらず落ち着かん奴だな」 「マヒワのことですか?」 「――ん?」 「気になるなら、素直におっしゃいまし」 「別に気にしておらん」 「マヒワももうすぐ二十歳。それは年頃の娘でしょうけれど、おとなしく家庭に収まるような子ですか?」 「想像できんな……」 「わたしだって、マヒワと同じ年の頃には、敵陣に斬り込んでいましたよ」 「なにが普通で、なにが理想なのか、まったく判らんな」 「自分の知っている多くの人びとを寄せ集めると、なんとなく普通というものが出来上がるのではなくて?」 「おおぅ。なんだ、いきなり」 「わたしも若い頃には普通でないと言われて、悩んだものです」 「儂も、まぁ、似たようなものだが……」 「なら、普通が良いような言い方はおよしなさいませ」 「まぁ、言われてみれば、儂も普通の人間に会ったことがないから、反論はできんな」 「マヒワはマヒワ。それに付き添うスイリンもスイリンでよいのです」 「そんなものかな?」 「ええ、そんなものです」 「――ときに、アッカよ、気づいておるか?」 「何をです? 藪から棒に」
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