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 ウトゥの教えに、マヒワと弟子たちは深く頷いた。 「――ま、結局は普段の鍛錬が重要だってことだけどな」  マヒワたちはウトゥと合流してから、毎日のようにウトゥの人生哲学を聞いていた。  ウトゥの護衛隊としての実体験に裏打ちされた哲学は、聞いているだけで力が湧いてくる。  マヒワは、早め早めに敵がいるかいないかの探索を徹底することで、状況把握の質が格段に良くなるのを実感していた。  そして、探索で相手の存在を察知できたら、探索班の一部を相手に張り付けて静動を偵察させるのだ。当然その間も、ほかに敵がいないか探索を怠らない。  マヒワはウトゥの教えどおりに、すでにスイリンに周辺の探索をお願いしていた。もちろん、ウトゥのほうも、護衛隊から探索班を出している。  その成果は、すぐに出た。  探索班から、この先の街道を逸れたところで、先行していた隊商が二十人ほどの野盗に襲われているとの報告があった。  先行の隊商は、荷馬車が三両という小規模な上、付いていた護衛隊も経験が浅く人数も少なかったはずだ。  商売の規模が小さいので、雇える護衛隊の質も規模も最小限となったようだ。  荷を襲う野盗としても、手堅く稼ぎが得られる格好の獲物と判断したのだろう。  報告を聞く限り、このまま進めば、こちらも襲撃現場に遭遇するような位置だった。 「おじさま、どうします?」  マヒワは先行するつもりで聞いた。
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