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騎兵は、衆目にさらされている手前、収まりようがなく、もう一声吠えると、父親を張り飛ばし、母親を蹴り倒した。
この様子を見ていた群衆のなかに、同じく都大路を歩いていた一行がいた。
一行は、白髭の豊かな大神官長と、被り物を目深にかぶり外套をまとった純白の神官たちが三人、それに護衛士の二人からなっていた。
この辺りの大神官長となれば、王都の郊外にある太陽神殿に仕える神職たち意外にない。
大神官長は関わりになることを避ける素振りを見せていたが、神官のうちの一人が止めに入ろうとした。
親子に駆け寄ろうとした神官を、大神官長があわてて止める。
「いかん! こらえなさい!」
「捨ててはおけません! 大神官長さま、お放しください!」
大神官長は老人とはいえ、かなり力が強かった。
女の身である神官は、制止を振り切れない。彼女は打擲を止めさせられないことに歯噛みした。
「はやく列にお戻りなさい!」
大神官長に押し戻された拍子に、神官のかぶっていたフードが脱げ、緑の黒髪があらわになった。束ねて巻き上げていた長い髪がほどけ、風になびいた。
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