84人が本棚に入れています
本棚に追加
『和泉が幸せになってくれて嬉しい。』
そう笑う絢に俺は新谷さんのことを思い出した。
「…お前ももう良いんじゃねぇの、俺と椿以外に行方くらますなんて。」
そう言うと絢はしばらく沈黙だった。
俺の言葉の意味を多分理解しているんだと思う。
「お前に幸せになってほしくて別れたんだから、ちゃんと約束守れよ。」
『幸せだよ、穏やかで。静かに暮らせて、こうやって和泉や椿と友達で居られるだけで。』
その言葉を嘘だなんて言うつもりはないけど。
だけど埋まらない隙間があるのわかるよ。
俺だって雪を好きになるまでずっとそうだったから。
多分、絢もずっと自分の気持ちに蓋をしてもうなかったことにしようとしている。
宝生さんも復活しているし、もう気にする必要なんて無いのにな。
最初のコメントを投稿しよう!