虐殺ゲーム ~血塗られた教室~

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 小学校の教室、俺の名前が呼ばれた直後に、剛田先生が突入してきた。男性教師の中で最も体格がいい先生。  それから、犯人と揉み合いになった。強者同士の戦いは、相打ちに終わった。揉み合って倒れた際に、犯人は自分の持っていたナイフが心臓に刺さり死亡。  しかし、直前に別のナイフで刺された先生も、同様に命を失うこととなった。担任の笹山先生は、失血死。  教師2名、生徒15名が死亡。  犯人も死亡という、前代未聞の大惨劇となった。 「私は、死に場所を求めて、さまよっていました。師匠と出会うまでは」  事件を心の底に沈めるよう、努力をしてきた。大学をなんとか卒業して就職をした俺だったが、社会になじめず退職してしまった。 「アルバイトで日銭を稼いで生計を立ててきましたが、30歳を目前にして、生きる意義を見失いました。自分だけ生きていていいのか? 出来ることが、あったはずなのにと」  師匠は、カレーをうまそうに食べていた。  一見、聞いているのか分からないが、いつものことなので、気にせずに続けた。 「あの日、死に場所を求めて、このあたりの山をさまよっていました。そして、あの崖に辿りついたのです。都心で自殺すると、他人に迷惑がかかりますので」 「それは、聞き捨てならんな。山奥でも死なれると、困る者はおるぞ」 「はい、反省しています。師匠の第一声は『ここは、私の修行場だ。死ぬなら別の場所に行ってくれ』でしたね」  俺は当時を思い出し、思わず顔の筋肉を緩めた。寺の僧が、別の場所で死ねなんて、師匠らしい。しかし、その言葉は本意ではなかったのだろう。 「もう一つ言ったが」 「えーっと……」 「自分の死に場所は自分で決める。しかし、お前のように無駄死にはせん、そう言った」  確かにそう言っていた。その後、俺を説得して寺へ連れてきたのだ。 「『自身を見つめ、自身の真理にたどり着けば、お前は苦悩から開放されるだろう』 師匠はそのとき、おっしゃられました。私はそれを信じて修行に励んできましたが、今だ真理の入口にも立てておりません」  俺は、カレーをすくったスプーンを皿に戻した。年齢はついに60歳、還暦を迎えてしまった。過去のトラウマを抱えて、一生を終えるのだろうか。 「ともかく、修行に励みなさい。明日は他の者と、滝に打たれに行くがよい」  師匠は静かに告げた。  真理への近道を問いかけたかった。しかし、師匠の眼差しは、何もかもを見通しているようで、黙ってうなずくしかなかった。  師匠は手を合わせ、ごちそうさまと言った。
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