虐殺ゲーム ~血塗られた教室~

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* * * 「おかえりなさい。100日修行に耐えるなんて、大変なことですよ」  お手伝いのおばさんが暖かく迎えてくれた。  今日の晩御飯は他の弟子も含めて、大人数だった。 「ここのカレーが恋しかったです。いただきます」  俺は100日ぶりのカレーを前にして、手をあわせた。  その時だった、また脳内にイメージが走った。山奥の小屋で修行を終えた場面だ。眼下に師匠と俺の姿が見えた。空中から2人を見てるようだ。 ――今日の晩御飯はカレーだぞ。豚肉入りのな。  眼下の自分に語り掛けた。その瞬間、これまでに感じたことがない感覚を得た。眼下の自分と心が通じた気がしたのだ。  俺は、はっとして、カレーにがっついている師匠を見た。 「師匠!」 「なんじゃ、はよ食わんか。カレーは暖かい方が美味い」 「今、不思議な感覚を得ました。山にいる自分、数時間前に小屋で修行を終えたときの自分と、心が通じた気がしたのです」  師匠の顔から表情が消えた。鋭い視線で俺の方を見る。 「本当か?」 「はい」 「それが私が言う『真理』という状態じゃ。よう、たどり着いた」  他の弟子たちも、食べる手を止めて、俺たちの会話に釘付けになっている。 「自己の真理とは、すなわち、過去の自分と対話をすること。それにより、後悔を解消することにある」 「私は今、小屋に居た自分と会話をしたということですか?」 「その通りだ」  にわかに信じがたい。しかし、それが事実なら……。 「語り掛けたことで、過去の自分が行動を変えた場合、未来はどうなりますか?」 「未来は、行動に応じて変化をする。それだけだ」  過去の自分にメッセージを届けることができる……。 「小学生の自分に、メッセージを届ける。そうすれば、事件を回避することができるかもしれない。その理解で正しいでしょうか?」 「おまえは、自身でその力を得た。あとは、自分が決めることだ」  俺は席を外して、卒業アルバムを手にして戻ってきた。最後のページを開いた。これを見ると決心がつく気がした。 「やります。そして、クラスメイトと先生の命を救います」 「分かった。しかし、お前の力はまだ弱い。数時間前の自分との対話がせいぜいじゃ」 「そんな……」 「だから、これをお前に渡そう」  師匠は俺に近づいて、右手を差し出してきた。 「師匠がいつもお持ちの、水晶玉」 「この石は、真理の力を増幅することができる。今のお前なら見えるだろう」  俺は受け取った水晶玉に目を凝らした。  見える、見えるぞ!  そこには、家を出る小学生の俺の姿が映っていた。 「師匠、見えます!」 「じゃあ、念じるがいい。過去の自分と対話できるだろう」
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