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早耶と晩ごはんを食べながらも本のことが気になった。
帰宅するなり購入した本を読み始めた。
作者の一人称で書かれた内容はまるで日記のようで、夫との出会いから始まっていた。
夫の名前は隆、本の中の『私』は隆から有希子と呼ばれていた。
有希子は夫婦で洋食店を営んでいたが、夫を病気で亡くしたあとも店を引き継いでいた。
そこへ隆がやって来る。毎回、オムライスを注文する隆は常連客になり、有希子とも自然と会話をするようになった。
隆は東京から、高校まで住んでいたこの北海道の地へやってきたのだと言う。
どうやら訳ありのようだった。
いつしかふたりはいっしょに住むようになり、隆は少しずつ自分のことを話すようになっていた。
それでもどこか淋しげな顔を見せるのが有希子には気になっていたが本人に聞いてもはぐらかされるばかりだった。
しかし、ある日、旧友と会って隆の性格が一変した。霧が晴れるかのように明るくなり、有希子のことも真っ直ぐ見てくれるようになった。
そして、隆が以前生業としていた文筆業を再開したのだった。
ざっくりとしたあらすじはこんな感じだった。
読み終えると、時計は午前2時を回っていた。
最初はただの恋愛日記だと思ったが、これは本当に父の不倫相手が書いたものなのだろうか?
隆=父なのだろうか?
だとすると、おかしな点がいくつかある。
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