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「新名さん、作家の連絡先を教えるわけにはいかないんですよ」
そんなことはわかっている。事情があると言って半ば強引にアポを取り付けたのだが、担当者からは紋切り型の答えが返ってきた。
私はスマホのアマチュア投稿サイトのマイページを開いて見せた。
「あ、ほんまですね。ペンネームが同じやな」
どうやら、担当者は関西出身のようだ。
私はここぞとばかりに、これまでの経緯を丁寧に説明した。これで動いてくれないなら、諦めるしかない。
「う〜ん、それはどうなんやろなぁ。完全におたくの思い違いってこともありますやろ?」
「じゃあ、このペンネームの意味わかります?」
「おたくに何かメッセージを送る、いう意味でっしゃろ?」
わかってるじゃない!!と言う代わりに私は大きく頷いた。
「わかりました、根負けしましたわ、彼女に連絡取りますんでちょっと待っててもらえますか?」
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