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僕は手紙を手に、しばらく彼女との想い出に浸っていた。
しかし、かつてのような深い悲しみは、もう僕の胸に訪れることはなかった。
あんなにも好きだった彼女のことも、彼女を失って、あんなにも悲しみに暮れた日々も、今は穏やかに僕の心の中に息づいていた。
だけど、それは彼女への想いが薄れてしまったからのような気がして、何だか寂しいことのようにも思えた。
ただ、手紙の中には、手紙の中にだけは、あの時、あの瞬間の、紛うことなき本物の想いが残されていた。
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