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 僕は消印の日付が一番古い封筒から手紙を取り出し、折り畳まれていた手紙を開いた。  そこには、付き合い始めて間もない頃の少しよそよそしい、だけど、僕への好意が伝わる文章が綴られていた。    この頃の僕達は、まだ、キスも交わしたことがないのに、遠距離恋愛になってしまって、余り付き合っている、という実感がもてずにいた。  手紙には、特に、甘い愛の言葉が書かれている訳でもなく、主に彼女の近況が当たり障りのない言葉で記されていた。  あの頃、僕は大学生で、大学を卒業した彼女は、実家に戻って就職浪人をしていて、僕達の恋は、まだ始まったばかりだった。
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