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旅立ち
その後村に平和が戻った。
人々は活力を取り戻し、元の様に元気に働き始め港に再び賑やかな活気が戻った。
それから間もなく李翔は村を発った。村人達は彼が去ることを惜しんだが、李翔はこの場所でできることはもうやり尽くしたと思ったのだ。
一方、村に居場所をなくした平八はまた山の洞窟で暮らしていた。
夜鼾をかいて寝ていた平八は、洞窟の入り口から声が聞こえ起こされた。
「平八、身支度をしなさい」
薄目を開けて見ると洞窟の前に黒い影が立っている。
「ひいぃ! し……死神か?!」
平八は青ざめ飛び起きて、手を合わせて懇願した。
「頼む、まだ連れて行かないでくれ! 散々悪いことをしたがまだ死にたくないんだ、ようやく心を入れ替えたところなんだ!」
すると影はこう言った。
「旅に出ると言っているんだ」
そこでようやく平八は合点がいった。迎えにきたのは李翔で、弟子入りを受け入れ旅に同行しろと言っているのだと。
平八は喜び勇み、急いで少ない荷物を纏め李翔の後について山を下りた。
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