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霊能者と偽占い師
李翔はどんなものでも視ることができた。
相手の身体に触れれば悪い箇所が分かり、生年月日を聞かずともその人間の過去や悩みを見透し的確な助言をし、例の不思議な呪文でお祓いをした。家で厄介な霊障が起きるという者があれば赴いて除霊をした。李翔は金を一銭もとらなかったが、村人はお礼に魚や米や野菜などを彼の家に届けた。
だがそんな彼の存在を疎ましく思う者がいた。
占い師の平八である。今年四〇になる平八は李翔が来るまで村の占い師として栄えていた。高い金をとっていたが占いの殆どは出まかせで、神棚に果物を備えろ、お前は水難の相が出ているから要注意、神経の病気にかかってるなどそれらしいことを言うだけだった。だが李翔が表れてからというもの誰も平八の元に相談に来なくなり、挙句村人達からペテン師、守銭奴などと言われ村八分になった。
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