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不思議な水晶
平八は忌々しいあの李翔という男を何とか出し抜けないかと企んだ。
村では金物を海に落とすのは龍神が怒り禍が起こるため禁忌とされていたが、平八は包丁を海に投げ込み漁の邪魔をしてやろうと試みた。災害で不漁となれば李翔は詐欺師と呼ばれ、村人達はまた自分を頼るようになると考えたのだ。だが犯行現場を村人達に見つかって袋叩きにされた。
平八は村を出て山を越えた先にある町を彷徨った。
町の酒場で飲んだくれていた平八は、一人の中年の商人と出会った。商人は大きな木箱を持っていて、中には直径十センチ程の大きさの透明な水晶が大量に積まれていた。
その水晶売りは平八にこう言った。
「これは他人の過去の記憶を集められる水晶だ。誰かを占うと相手の過去と映り水晶が何色かに光る。色は一人一人違うが映った色が美しいほど高値で売れる。ただし水晶は一人につき一つしか使えない。金色の水晶は一番高値で売れるが、その色を持つ者は滅多にないと言われる」
平八は男の持つ全ての水晶を買った。
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