【プロット】羽根を失くした天使

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 東京の喧騒から遠く離れた、静かな海辺の町。  古びた教会の尖塔の上で、一人の天使が羽根を休めていた。  彼の名は、アラクル。  漆黒の羽根を持ち、堕天使と呼ばれるである。  アラクルは、かつて天界で最も輝かしい天使の一人だった。  しかし、彼は、人間を愛しすぎた罪で、天界を追放されたのだった。  地上に堕ちた彼は、人間と共に生き、苦しみや悲しみを分かち合ってきた。  ある日、アラクルは、海岸で一人の少女と出会う。  少女は、莉子という名前で、重い病を患っていた。  彼女は、生きる希望を失い、ただ静かに死を待っていた。  アラクルは、莉子に優しく語りかける。  彼は、自身の過去を語り、そして、人間を愛する心を伝える。  莉子は、アラクルの言葉に心を打たれ、生きる希望を取り戻す。 莉子は、アラクルに、ある願いを託す。  彼女の代わりに、世界中を旅して、人々の笑顔を集めてきてほしいというものだった。  アラクルは、莉子の願いを叶えるため、旅に出ることを決意する。  彼は、黒い羽根を広げ、世界中を飛び回る。  旅の途中、アラクルは、様々な人々と出会う。  貧困、差別、戦争…人々は、様々な苦しみを抱えていた。  しかし、それでも、彼らは懸命に生きていた。  アラクルは、人々の優しさ、強さ、そして、愛に触れる。  彼は、人間を愛しすぎたことで天界を追放されたが、それでも、人間を信じ、愛することをやめない。  アラクルは、旅の途中で、奇跡を起こす。  彼は、病人を癒し、争いを止め、人々に希望を与える。  彼の行動は、人々の心を動かし、世界中に広がっていく。  そして、アラクルの噂は、天界にも届く。  天界の長は、アラクルの行動を認め、彼を天界に呼び戻すことを決意する。  アラクルは、天界に戻るべきか、地上に残るべきか、選択を迫られる。 莉子との約束を果たしたい。  しかし、天界に戻れば、再び人間と関わることは許されないだろう。  アラクルは、苦悩の末、地上に残ることを決意する。  彼は、莉子の元に戻り、世界中で集めた笑顔を彼女に伝える。  莉子は、アラクルの言葉に涙を流し、感謝の気持ちを伝える。  そして、彼女は、静かに息を引き取った。  アラクルは、莉子の死を悲しみながらも、彼女の笑顔を胸に、再び旅に出る。  彼は、これからも人間と共に生き、彼らの笑顔を守るために戦い続けるだろう。  数年後、アラクルは、再びあの教会の尖塔に立っていた。  彼の羽根は、黒から白へと変わっていた。  それは、彼が再び天界に受け入れられた証だった。  しかし、アラクルの心は、今も人間と共にあった。  彼は、地上を見下ろし、人々の笑顔を見守る。  そして、静かに呟く。 「私はこれからも、人間を愛し続ける。  たとえ、それが罪であっても」  アラクルは、白い羽根を広げ、空へと舞い上がった。  彼は、永遠に、人間を見守る天使となるだろう。
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