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そこでフミは、はたと気付いた。
そう言えば、告白の返事をしていない。
でも、今のタイミングで言うのってどうなの?
そもそも……私はどうするつもりなの?
フミは暫し思考に耽る。
八反は身体を起こして、黙ってしまったフミを見つめる。
「フミちゃん、何考えてるの?続きして良い?」
八反はかっこ良いし、そのスマートな言動に憧れを抱いていたのは確かだ。
遊ばれたと勘違いした時も胸が痛かった。
だけど……どちらかと言うと架空とかアイドルの存在に近かった。
だから、すんなりと諦めるという選択が出来たのだ。
しかし、今目の前にいるのは、実在する生身の男性だ。
平凡なフミに、甘えてすがる、情けなくも可愛い男。
これが、手練れのテクなのだとしても、それを行使する価値をフミに感じてくれているということだ。
火照るからだを抱えながらも、納得せずには前に進めない厄介な部分が発動し、フミは目を瞑り、黙った。
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