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「フミちゃんに貰ったプリンを全部持ち帰ろうとするんだからさ、油断も隙もない。姉ちゃんちは旦那と子供の三人家族だから三個あれば足りるのに」
「そうですか。お姉さん……」
そう言われれば、確かに似てた。
彫りの深い甘い顔立ち。細身で長身なところも。
「てっきり、彼女さんかと」
八反はフミの顔を覗き込んだ。
「えっ?そう思われてたの?!」
フミは俯き、視線を逸らす。
「ええ、まあ」
「だって、俺、フミちゃんが欲しいって言ったよね?」
「あれは、一時の気の迷いだと思って。お互いお酒も飲んでたし」
「えっ?!フミちゃん、気の迷いなのあれ?そりゃあ、俺が我慢しきれず迫ったんだけど……、めっちゃショック……いや、嫌われてるより良いのか? ずっと避けられてたでしょ、俺」
八反は上目でフミをうかがった。
フミも上目で八反を見ながら答える。
「八反さんには沢山彼女がいるって噂だったので、それに混ざるのはやだなって」
八反は目を閉じて大きな溜め息をつく。
「やっぱりフミちゃんも誤解してたか」
八反はフミから手を離すと、ポケットからスマホを取り出して操作し始めた。
「見て」
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