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「ここに店を出すことを決めて、またその子に会えたら良いなって思ってたら、なんと、パティシエになって『ぴよこっち』で働き始めたじゃん。しかも、俺の好みドンピシャの絶品のプリンも作れるなんて……即行、癒しを通り越しちゃったんだ。毎日、フミちゃんの姿を見て声を交わすのが楽しみで、休みの日は寂しくて……もう、抑えきれないほど気持ちが膨らんじゃった」
フミは唖然として恥じらいながら語る八反を見ていた。
「派手な顔立ちだから誤解されるけど、俺、遊んでないよ、めっちゃ奥手で一途だと思う」
「……顔真っ赤ですもんね」
八反は顔を覆う。
「うわぁ、もう、見ないでフミちゃん。良い年して恥ずかしい」
「その割に、あの時はグイグイ来てましたよね」
「アルコールの力を借りて……」
「なるほど」
フミは吹き出した。
「笑わないでよ」
「可愛い、可愛いですね、八反さん、意外」
八反は拗ねたように唇を噛むと、再びフミの手首を掴む。
「もう、可愛いで良いよ。お願い、フミちゃん、俺と付き合って」
「今日の街コンでたくさん女の子に告白されたんじゃないですか?本当に私で良いんですか?」
八反はフミの手首をぎゅっと握った。
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