本編

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「良いですよ、私はどうせ表には出ないし。でも、何だか楽しいですね。こんな時間から通りに人が歩いてるの珍しい」 「青年部から提案された時はどうかと思ったけど……中々良いわねこれ。変装すると年甲斐もなくウキウキするわぁ」 二人は通りの向こうを見た。 至るところに飾り付けられたカボチャや案山子、蝙蝠、お化けのオーナメント。 今日は、この、『てるてる商店街』上げてのハロウィンイベントなのだ。 メインは所謂街コン。 スタンプラリーやオリエンテーションを絡めて子供を含めた若い世代を呼び込む狙いだ。 各店舗はハロウィンにちなんだ限定商品を販売したり、特別セールを行う。 「それにしても、サブちゃんもさっちゃんも残念だったねぇ、はりきって準備してたのに」 田中のおばさんは、角の付いたフードで包まれた顔をしかめた。 「フミちゃんがいてくれて良かったわよ」 フミは笑顔を浮かべたが、内心は複雑だった。
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