本編

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「……あの時はシャンパンを飲んでたから普通じゃなかったかもしれません」 「じゃあ、また飲む?」 「酔わせて襲うつもりですか?それは流石にどうかと思います」 八反は再び卓袱台に顔を付ける。 「……悪戯したい……」 フミはウズウズと気持ちが高揚するのを感じていた。 遊ばれるのは勿論嫌だが、この可愛い歳上の男を少しばかり翻弄していると思うと、胸が高鳴る。 甘いトロリとした感情がフミの中に生まれた。 フミはそっと手を伸ばして、その柔らかい黒髪に触れる。 八反がぴく、と反応し、フミの手首を掴んで顔を上げた。 「何?フミちゃん」 迫り来るイケメンから目を逸らし、フミは小さく呟く。 「悪戯です……」 「じゃあ、お返し」 八反は顔を伸ばしてフミの唇を食んだ。 「かぼちゃプリンの味だ。……美味しい。もっと食べたいな」 フミは睫毛を伏せた。 八反の手が頬に添えられ再び唇が近付く。 何度もふれあい重ねる唇が、甘い吐息を絡め合う。 八反はフミの腰を抱いて引き寄せると、太股の上に座らせた。 「フミちゃん、可愛い、大好き」 両手で頬を挟むと、口内に舌を捩じ込まれる。 「ん、ふ、」 「は、フミちゃん……甘い」 夢中で貪られ、フミは、あの時と同じように頭が霞み始めた。 「ん、八反さんっ」 フミは慌てて胸を押す。 「いやだよ、今さら止めれない、お願い」 目を蕩けさせて懇願する八反に、フミは途切れ途切れに訴えた。 「あのっ、……カーテンを閉めてっ……下さい、電気……消してっ」
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