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「やっ、止めてっ、だめぇ!」
「ソイツに初めてを奪われたんだ……悔しいな」
「そ、そんなこと言ったってぇ!」
フミは余りの刺激に耐えられなくなり、八反の腕を掴んだ。
「ね、もうっ、止めて」
「ソイツと何回シタの?ここ触らせた?」
八反は眉を寄せてフミに囁く。
「はっ、そんなのっ、覚えてなぃぃ」
「ねえ、教えて。何回シタの?何年付き合ったの?」
先輩とは二年付き合った。
お互い課題とバイトに忙しくて頻繁には会えなかった。
先輩がホテルの厨房に就職してからは更に会う頻度が少なくなり…所謂自然消滅だ。
「何でそんなこと拘るんですかっ、八反さんだって初めてじゃないくせに!」
八反は慌てて指を引き抜き、フミを抱き締めた。
「ゴメン、フミちゃん、怒んないで」
フミはその背中に手を回す。
「過去に拘ったら、八反さんみたいな人と怖くて付き合えません……私は、今を見ようとしてるのに」
「フミちゃん、ゴメン、つい悔しくなって、俺」
「……臆病な吸血鬼ですね」
フミはその髪を撫でた。
「呆れないで、凄く好きなんだフミちゃんのこと。だから、不安なんだ」
何故そんなに不安なのだろう。
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