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「フミちゃん、もう、手放せないよ、俺」
フミのぐったりした身体を後ろから抱き締め、髪にすり寄る八反が切なく漏らす。
「ここに住んじゃえば良いのに」
「……そんな訳にはいかないです」
「職場が目の前だよ?」
「プリンは私からも師匠に頼んでみます」
「俺はお菓子も悪戯も欲しい」
ふっ、とフミは笑った。
もぞもぞと八反の腕の中で身体の向きを変えた。
八反の背中に手を回し、きゅっと抱き締める。
「私、これでも反省してるんです。八反さんとは顔見知りだけど、言葉を交わす程度だったでしょ、それなのにこんなことになっちゃって…...何だか軽はずみなことをしてるようで」
八反はフミを抱き込んで髪を撫でた。
「俺が強引に迫ったんだよ。俺のせいにしてよ」
「でもぉ……」
「ハロウィンが来る度に、今夜のこと思い出すなぁ……俺にとっては最高の記念日だよ」
八反は感慨深げに言う。
ハロウィンって外国のお盆に当たる行事だって聞いたことあるけどな。
何だか少しおどろおどろしいけど……
「スペインでは焼き栗や焼き芋を食べるそうなんだ。そういえば姉ちゃんが持ってきてくれてたな、食べる?……ていうか、お腹すかない?何か作るよ」
「食べる!」
フミは八反を見上げた。
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