本編

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八反はフミを愛おしげに見つめておでこにキスをした。 「じゃあ、今度は俺がフミちゃんの胃袋を掴むわ、全力で」 「……掴まれたことにします」 「……どういうこと?」 「私は卑怯で見栄っ張りなんで、八反さんの見掛けに惹かれたとか、強引に迫られて流されたとか言いたくないし認めたくないんです」 「……なるほど。でも、そうなんでしょ?俺は全然構わないけど」 八反は身体を起こして膝に顔を乗せて訊いた。 フミも身体を起こして膝を抱く。 「八反さんのドラキュラ……素敵でした。齧られたくなっちゃった」 「スカルを選ばなくて良かった」 八反は照れ臭そうに笑い、手を伸ばしてフミの頬を指で擽る。 「俺はずっと夢中だったよ。魔法を使ったみたいに美味しいプリンを作る魔女に。知ってる?スペイン人はプリンが大好きなんだ。flan (フラン)っていうんだけどね」 「日本生まれの生粋の日本人なんですよね?」 八反がちゅ、とフミの頬にキスを落とした。 「多分、遺伝子に組み込まれてるんだ」 調子良いんだよなぁ。 フミは苦笑いした。 「毎日食べたいなぁ……プリンも魔女も」
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