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最終話
「『ぴよこっち』は今年はかぼちゃのモンブランなんだって。うちは定番でいく?」
フミは厨房に向かって声を掛けた。
「当然、かぼちゃプリン一択」
「ケントさんは本当に好きだよねぇ。カラメルソースは後掛けで良い?」
「うん」
ケントが厨房から手招きをする。
フミが近付くと、八反がフミを引き寄せてキスをした。
「なぁに?いきなり」
「エプロン似合ってる」
「そお?」
「嬉しいなぁ、とうとうフミちゃんが俺んとこに来てくれて」
「お役御免になっちゃったもんね。まあ、何とかパティシエとしても合格点貰えたし」
今年の春、店主夫婦の息子がフランスから金髪碧眼の奥様を伴って帰国したのだ。
「俺は優秀なパティシエと可愛い魔女を手に入れた!……幸せ」
「ケントさん、今年は街コンのサクラは断ったよね?ドラキュラの扮装も禁止だよ!」
「今年はずっと恋人の側にいる。フミちゃんもね。プリンの魔女は俺だけのものだから。……店を閉めたら二人だけでコスプレして盛り上がろう」
フミはケントの耳に囁いた。
「今度は齧られたいな」
「……どこを齧られたい?」
「どこにしようかな……」
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