最終話

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開店前の扉が開き、八百屋の光輝が顔を出し、怒鳴った。 「外から見えてんぞ!いちゃつくな!」 フミとケントは抱き合ったまま、視線を向ける。 「くそっ!今年は絶対俺も可愛い魔女を見付けてやるからなっ!」 派手なドアチャイムを鳴らして閉じられた扉から視線を戻し、二人は顔を見合わせて笑った。 今年も恋したいモンスター達が、甘いお菓子と甘い恋のときめきを求めてやってくる。 欲張りな彼らに、ちょっぴり大胆になる魔法をかけよう。 オレンジの果肉を木ベラで裏ごししながらフミは思いを込める。 なんてたって私は、 てるてる商店街の プリンの魔女だもの。
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