石を集める

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 甲子園球場に、試合終了のサイレンが鳴り響く。  沖縄県代表の首里(しゅり)高校は、福井県代表校と対戦、善戦したものの、1対3で惜敗した。  甲子園で敗退した高校は、甲子園の土を袋や瓶に入れて持ち帰る。  これは、甲子園の風物詩といってもいい光景だ。  かくして、沖縄県代表首里高校の選手たちも、泣きながら甲子園の土を袋に集めていた。  沖縄は敗戦時にアメリカに占領され、その統治下にあった。  そのため、夏の高校野球にはそれまで参加できないでいたのだった。  しかし、ついに沖縄県も高校野球に参加することが認めれ、1958(昭和33)年、首里高校は戦後初の甲子園、沖縄県代表校となったのであった。  一回戦での敗退は無念であったが、全力で戦った結果であり、球児たちは万感の思いで甲子園の土を集めたのだった。
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