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プロローグ
「永遠列車って知ってる?」
「その列車は僕たちを夢の世界に連れて行ってくれるものなんだ」
これは夢の中のできごとなのだろうか? 一体この状況は何? この存在が私に伝えようとしていることは何なのでしょうか?
「その列車は、千年をかけて永遠に続く天国へと君を連れて行ってくれる。一緒に旅する仲間たちは皆気の合う人ばかりで、差別や裏切り、君を見捨てるようなことは一切ないんだよ。苦しみや悲しみも全く存在しない幸せな場所なんだ」
「過去や未来を旅し、宇宙を永遠に冒険できる。それはまさにタイムマシンのようで、過去の嫌な出来事を修正したり、未来の夢を実現することもできるんだ」
やはり、これは夢なのだ。しかし、とても美しい夢であり、いつまでも見ていたいものだった。けれども、夢である以上、覚める時が来る。それに気づいた瞬間、私はその不思議な人物に話しかけていた。
「そんな夢のような列車が本当にあるのですか? 私には信じられません。だって、この世には夢や希望が少なすぎて、そんなものを信じることができないから」
私の言葉を聞くと、その人物は静かに微笑んだようだった。それから、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「確かに目には見えない列車かもしれない。でもね、早苗、その列車は実際に存在するんだ」
その人物は終始態度を変えず冷静で、どうしてそこまで自信を持って話せるのか不思議だった。だからこそ、私の最大の疑問を直接その存在にぶつけてみた。
「でも、どうして私を選んだのですか? 私より適任な人はたくさんいるはず。自分にそんな価値があるとは思えない」
「ふふ、早苗。君は自分で思っている以上に、とても魅力的な女の子なんだよ?」
私が……? そう言われたとき、自分でも不思議に感じた。自分には魅力がないと思っていたからだ。なぜそんなふうに思うのか、自分でもわからなかった。ただ、本当に自分には何も価値がないと思っていたのだ。私の価値を理解できる人なんているのだろうか?
「それでは質問が一つだけあります。その列車に乗るにはどのようにすればいいのですか?」
その人物はまるで私の質問を予見していたかのように、すぐさま答えを返した。
「心の声に従うんだ、早苗」
「心の声?」と思いながら不思議に感じていると、彼はさらに説明してくれた。
「その列車はね、早苗、君のすぐそばにあるんだ。つまり、永遠列車は心の中にあるということさ。これが今話せる最大の秘密だよ」
意識が薄れてきた。この奇妙な夢から目覚めるのだろうか。私がまだ聞きたいことがあると伝えると、彼は最後にこう言った。
「これから先、君には多くの困難が訪れるかもしれないけれど、その時はいつも僕が導くよ」
彼はその言葉を残し、姿を消した。
永遠列車へようこそ。
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