プロローグ

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プロローグ

大学卒業後、念願だった大手医療品メーカーに就職出来た。 一年目はやっぱり大変で、少しだけ慣れてきたかと思っていた二年目。 私は社長室に呼び出された。 「倉本(くらもと)さん、社長に呼び出されるって何したの……!?」 心配してくれる同僚。 「倉本さん、社長に呼び出されたんだって。終わりだな」 「倉本さん、良い人だったから残念」 コソコソと噂をする隣の部署の人達。 何故、こんなにも社長室に呼び出されることを皆んなが恐れているのか。 うちの会社の社長にはこんな噂があった。 「気に入らない社員を社長室に呼び出してクビにしている」 「社長室に呼び出されて、辞めなかった奴はいない」 そんな噂から冷酷な社長として恐れられ、社長室は「地獄の宣告室」と呼ばれていた。 そんな社長を私は入社式で一度だけ見たことがある。 端正な顔立ちでスラッとしたモデルのような体型。 女性に人気があることは一目見ただけで分かったのに、実際は…… ただただ恐れられていた。 それでも、私には関係のない話。 私はこの会社で普通に働けたらいい。
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