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そんなことを考えていると、社長は何かをひらめいたようだった。
「……分かった。じゃあ、俺も今度弁当を作ってくる。それで、君のと交換しよう」
そう言って、社長がおにぎりの最後の一口を食べ終わる。
「さ、俺はもう仕事に戻る」
「まだ昼休みですよ……!?それに全然情報交換出来てないです……!」
「今日は仕事が終わってなくてな。情報交換はまた今度しよう。これから毎日ここで会えるんだから。君は食べ終わるまでここでゆっくりしていけばいい」
そう言って、社長はまたデスクに戻って行く。
どこか心がモヤモヤした気がしたが、私はお弁当の続きを食べる。
そして、私はお弁当を食べ終わった後に社長室を出て行こうとして足を止める。
「社長」
「食べ終わったか。午後からもお互い頑張ろう。また明日、来てくれ」
「……」
「どうした?」
「社長、私は社長の仕事が終わるまで5分待ちました。何故だと思いますか?」
「急にどうした?」
「誰かと一緒に食べた方が美味しいから待ってたんです!普通は私が食べ終わるまで待つんです!仕事の前に婚約者を大事にして下さい!社長の馬鹿!悪魔!」
すると、社長は何故か立ち上がり、私の前まで歩いてくる。
「君の言う通りだ。これから気をつける。会食以外で誰かと一緒にご飯を食べたことがないから、分からなかった」
「っ!?」
「家族も仕事で忙しい人だったから。でも、これはただの言い訳で今は関係ない。本当に悪かった」
社長はそう言って、真面目に私に謝罪する。
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