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嘘をつくのを辞めた社長は甘すぎる
翌日の昼休み、私は社長室の前で扉を開けるか悩んでいた。
昨日、あんなことがあった手前、初樹さんと会うのが気まずくないと言えば嘘になる。
そんなことを考えていると、まだ私はドアノブに触れていないのに社長室の扉が開く。
「入らないのか?」
いつもと何も変わらない表情で出てきた社長につられて、私は社長室に入り、いつもの場所に座る。
「あの……!」
「どうした?」
私は勇気を出して、口を開いた。
「もうあんな嘘はつかないで下さい」
そうはっきり言った私に社長は、何故か少しだけ悲しそうな顔をした。
「俺の好意など君は要らないことは分かっている」
その表情と言葉はやっぱり本当に私を愛しているようで。
「……私には初樹さんのことが分かりません」
「だろうな」
「だから……素直に話して下さい。これでも、一応私は貴方の婚約者です」
その言葉に社長は驚いたように私と目を合わせる。
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