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「倉本さん、大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗く同僚に、私はなんとか笑顔を作って言葉を返す。
「大丈夫です。まだ何を言われるか分かりませんから!」
「何を言われるか分からない」と自分に言い聞かせ、どうか「クビ宣告」ではないことだけを祈っていたのに……
コンコン、と社長室の扉をノックする。
「倉本です」
恐る恐る入室した社長室で、私は確かに「クビ宣告」はされなかった。
代わりにあまりに唐突で、意味のわからない提案をされることになるとは思いもしなかったけれど。
「倉本 花重、俺の婚約者になって欲しい」
これから私の生活は目まぐるしく周り始める。
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