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それでも、なんとか返事をしないと。
このままでは勝手に婚約者にされてしまうかもしれない。
「出来ません……まず社長のことをよく知らないのに、急に婚約者になって欲しいと言われても無理です」
私は緊張の混じった声で、社長と目を合わせてそう言った。
「そうか。じゃあ、バラそうかな。君が倉本財閥の娘だと」
「っ!」
「ずっと丁度良い婚約者を探していた。倉本財閥は地位も安定しているし、後継に息子もいる。君がこうやって身分を隠して就職していること考えるときっと両親も寛容なんだろう。同じ会社で働く倉本財閥の娘。正直、丁度いい」
そんな無遠慮な言葉に腹が立たないなど無理な話だった。
「最低ですね。脅すんですか?」
「脅してなどいない。何故、隠しているのかと聞いているんだ」
「明かす必要がなかっただけです」
「では、俺が公にしていいのか?きっと君を囲う環境は変わるだろうな」
「っ!脅しているじゃないですか!」
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