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「いい反応どうも」
にやり、と笑うナンシー。
「実はモンスターの正体は、百年前の南北世界大戦で死んだ兵士や民間人じゃないかって噂があんの。確かに、両陣営凄まじい数の死人が出てるはずだしね。ウチの国は南側だけど、北側諸国に至っては南よりもっと死者出てるはずだし。お互いそれぞれの国に、どっかんばっかん爆弾も落としまくっちゃったそうだしね」
「お、おおおおおおおおおおおばけなわけあるか!も、も、モンスターは爆撃もレーザーもナックルも効くんだぞ!?お、お、おばけならすり抜けるから攻撃できないはずじゃねえか、オレは絶対認めない、認めてなるもんか!」
「何がそんなに怖いの?たかがオバケじゃん」
「た、たかがっていうな!本物のオバケってやつは物理攻撃が効かないんだぞ!?の、の、呪われたら逃げられないんだぞ!?追い詰められて、謎のサイキック能力で体をべきべきにへし折られてえええええ!」
「君が最近どういう映画を見たのかよーくわかったよ、デン……」
ていうかなんでそんなにびびりなのにホラー映画を見たがるのか不思議ではならない。確かに自分達はちゃんと休みも与えられているし、休みの日はちょっと遠出して旅行したり映画を楽しんだりしてもいいということにはなっているが。なんなら、寮にある図書館には去年くらいに出たDVDなんかも普通に置いてはあるが。
「ただでさえ最近こえー夢見て嫌になってんのに!これ以上怖がらせるのマジでやめろやナンシー!」
「怖い夢?」
そして彼がそう言った途端、ナンシーの顔色が変わった。彼女は眉をひそめて、まさかあんたもなの?と告げてくる。
「女の人が誘拐されて拷問されるって夢じゃないわよね?」
「……まじ?お前も?ケイシーも見たつってたけど」
「ああ、俺も見た」
「やっぱそうなんだ。あたしの班の子でも見たって子が何人もいんの。まだ見てない子もいるんだけど総じて共通してんのは、自分になんとなく似てる女の人だってことなんだよね。しかも、その女性の恐怖体験を追体験させられるみたいなのが気持ち悪いって」
ナンシーは言いながら、自分の下腹部をさすった。
「あんた達男だから想像つかないかもだけど。子宮口ぶち抜かれて注射器入れられるとかもう恐怖でしかないわけよ。痛いどころじゃないし、マジで死ぬかと思うレベル。なんであんなうやばすぎる夢見るんだかね。あれこそ、何かに呪われてるんじゃないか、ってマジで思うわけ」
確かに、それはケイシーもちょっとだけ疑っていたことだ。
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