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<4・親しき仲にも礼儀あり。>
モンスター達に決定打を与えられるのはほぼエンジェルによる攻撃のみらしいが、防御策なら他にもないわけではない。
例えば、国はそれぞれの市町村に大型のバリア装置を設置しており、それによってドーム状にバリアを張って町々を守っている。このバリアが効いている限り、モンスターは簡単に町に入ることはできないので、人間達の生活圏が守られているというわけだ。
ただし、このバリアの発生装置が壊されるようなことにあったら当然無効化されるし、バリアは電力によって強化されているため、衝撃を加えられれば加えられるほど膨大な電力を消費することになる。よって、モンスターが街の近くで発生したら、バリアを攻撃される前にできるだけ早く急行して討伐する必要があるのだ。モンスターがたくさんバリアを攻撃すると、最悪町全体が停電することもあり得る。そしてそれでもさらに攻撃を加えられると電力が尽きてバリアが消失することもまたあり得る。あくまでバリアは、一時的な防御策でしかないのだ。
本来ならば町のみならず町と町を繋ぐ陸路や水路にもくまなく結界装置を作りたいところだが、いかんせんそれだけの予算もなければ電力も足らないのが実情である。
よって現在人々が街と街を行き来するためには限られた地下道を使うか、エンジェルに乗った特殊軍人(自分達、エンジェルに乗れる兵士のことだ)を護衛につけて輸送するしかないのである。幸いにして、空路、陸路、水路に対応した装備をつけることで、エンジェルは空を飛んだり船のように海を進むことも可能となっているのだった。
「サイオンシティ近くに、ワーム級モンスターが出現したと報告された。よって、今から我々で討伐に向かう」
第一班班長であり、ケイシーたちミカエル小隊隊長である青年コンラッドが皆に説明してくれる。コンラッドは眼鏡をかけた知的な印象の青年であり、自分達より二つ年上だった。この年で小隊長を任されるほど優秀な人物はそうそういない。ちょっと厳しくて毒舌なのが玉に瑕だったが。
「ワーム級モンスターと一言で言っても、大型から小型まで多数確認されている。時間が過ぎれば過ぎるほどサイオンシティに到達される危険性が高くなる。全五班で、速やかに全ての敵戦力を殲滅せよとの命令だ」
「かなりの数ですが隊長、うちの小隊だけで倒すんですか?」
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