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「データ通りなら倒せない数というほどじゃない。それに……ウリエル隊やガブリエル隊、メタロトン隊は現在海の方に出ていてこちらに手が回せないそうだ。ウリエル隊とガブリエル隊はホクシマ王国への大規模輸送作戦の護衛に出ている。メタロトン隊は北方海域で駆逐艦級、戦艦級が出没したので掃討作戦中だ。ラファエル隊、サキエル隊はさすがに王都から動かせないしな……」
「うわお」
特殊軍人が所属する小隊は、それぞれ神話の天使の名前が与えられている。自分達はミカエル小隊であり、他の隊も全部偉大な名前がくっついているというわけだ。
そして、こうして聞くとこのご時世、特殊軍人の仕事は本当に多いんだなと実感するケイシーである。交代で任務に当たっているとはいえ、こうもあっちこっちでモンスターが出没するとあっては。
なお、駆逐艦だの戦艦だの重巡洋艦だのといった名前が海の方では頻繁に出るが、それはけして人間が乗っている船の名前ではない。モンスターの中には、百年前の戦争で使われたような軍艦を模したものも頻繁に出現するのだ。実際は船の見た目を纏っているだけで、中には血と肉と内臓、骨がみっちり詰まった生体なわけだが。
「あの……」
心配になったからだろう。自分達第三班の隊長であるシュラが、おずおずと手を挙げた。
「作戦内容を見るに、新人にはかなり厳しいものだと思われます。……第五班は新人も多い。彼女達のことは後方支援に回して頂けないでしょうか」
第五班――ケイシー班のことだ。彼女達の戦績が芳しくないことは、コンラッドも充分わかっているはず。そして、自分達は降りてきた出撃命令に背くことはできないが、細かな作戦は現場で隊長のコンラッドが決めていいことになっていたはずだ。同時に、それぞれの隊の配置も。
「……確かにな」
彼がシュラと親友であることは皆知っていることでもある。能力的にも一目置いている、ということも。他のメンバーの進言ならともかく、シュラの言葉を無下にするようなコンラッドではない。
というより多分、コンラッドも同じ危惧はあったはずで。
「貴重な戦力を無駄死にさせるわけにもいかん。……シュラ、貴様の班が先陣でも問題ないんだな?」
「問題ありません。うちの隊は優秀ですから」
「いい度胸だ。……貴様らを先鋒に据える。今から細かな作戦を伝えるから心して聞くように」
「イエス、サー」
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